2025/01/16  2021/12/22

論文起案をしなくても本番に影響しない
「書き方」スキルも身につく、一石二鳥な解消法

在校生 修了生 過去問

「答案構成」が中心の勉強法

 2023年度合格 
名古屋大学法科大学院・既修 2024年修了(在学中受験)

 5月に実施されるTKC「全国統一模試」に備えるため、4月の後半から1か月程度、過去問を検討しました。私が行ったのは30分で答案構成をし、問題の所在、規範、規範を導く理由、あてはめのポイント等が誤っていないか等のチェックポイントを確認していく、という勉強法です。そして、ほとんどフル起案の経験がないまま、TKC「全国統一模試」に臨みました。
起案未経験で臨んだ「全国統一模試」とは  TKC主催模試の詳細を確認する

フル起案未経験で受験した、模試の成果

 2023年度合格 
名古屋大学法科大学院・既修 2024年修了(在学中受験)

 フル起案の経験がほとんどなかったために、模試当日は途中答案を半分近く出してしまいました。また、論点の正確な理解が追い付いていないために、多数の論点落ちをしてしまいました。模試結果は散々な判定で、このままでは合格できない、と強く感じました。 司法試験模試受験中の受験生

論文起案は本試験でも影響する

 2023年度合格 
早稲田大学法科大学院・既修 2023年修了

 起案する際は、公法系や手続法など、規範の事例への適用が特に問われる科目を中心に行い、他の科目は主に答案構成のみとしていました。しかし、実際の本試験時に、時間内にうまく言語化出来ず焦った科目もあったので、もう少し起案する量を増やせばよかったと思っています。

フル起案から得られた気づきで事前対策

 2022年度合格 
東京大学法科大学院・既修 2022年修了

 2月中旬頃にまず過去問1年分の解答を制限時間内に手で書いてみました。すると、疲れるまったく時間が足りないというあまりに当たり前の事実に直面しました。そこで、法律知識のインプットと並行して、当日の飲み物、答案構成の方法配点に応じた時間配分などといった受験のテクニック的な部分の研究も行いました。そして一応のプランを練って挑んだ3月中旬のTKCの「全国統一模試」では、体力や時間配分等には課題を感じず、司法試験本番に向けて微調整をすればいいという手ごたえを得ました。

起案の抵抗感を解消する3アイテム

 起案する量を増やす以前に、そもそも「起案に抵抗感がある」場合はどのように解消したら良いでしょうか。合格者が実際に抵抗感を解消しながら、「書き方」スキルまで身に着けた3つのアイテムをご紹介します。
  1. 答案例を活用する
  2. ノートを活用する
  3. wordを活用する

答案例を活用する

 2023年度合格 
早稲田大学法科大学院・既修 2023年修了

 最初は、論文は難しいと感じるかもしれません。私は勉強を始めた頃、問題を見たら起案もせずすぐ答案例を見て、書き方の作法を学ぶという方法をとっていました。より意識が高い勉強方法は合格には必要ないと思います。

ノートを活用する

 2022年度合格 
早稲田大学法科大学院・既修 2020年修了

 答案用紙と同様の行数・大きさでノートやメモを書くことをおすすめしたい。私の場合、書くための体力がつくと同時に、思いがけず読み返しやすいノートが完成し、直前期の復習に大変重宝した。

ノートのサイズの選び方

 2021年度合格 
千葉大学法科大学院・既修 2018年修了

 私も起案への抵抗感を減らすため、起案はB5ノートに書くことに決めました。このようにすれば、ノート1冊を鞄に入れるだけで常に数十枚の起案用紙を持ち歩いているのと同じことになり、ノートは起案用紙ほど場所を取らないため、起案用紙を持ち歩く準備や置き場所の制約から解放されるだけでなく、見直しも容易になります。

起案用紙と異なる形式が気になる場合

 2021年度合格 
千葉大学法科大学院・既修 2018年修了

 形式の違いが気になる人は、ノートの上から23行目までに起案し、残りの余白はメモ欄にでも使えば良いと思います。1行あたりに書ける字数は、起案用紙にしろ、ノートにしろ、せいぜい20~30字程度で変わらないでしょうから、これで形式の違いはほぼなくなります。 答案例を見ながら起案している受験生

wordを活用する

 2021年度合格 
日本大学法科大学院・既修 2018年修了

 3年生の9月から年内は、司法試験の過去問に本格的に着手しました。具体的な方法としては、年内は平成18年度以外の問題について、自分が1行あたりに何文字書けるかを把握し、Wordで8枚以内に収まる形で、自分が完璧だと思う答案を採点趣旨や採点実感、予備校の参考答案を見ながら何時間でもかけて作成するという方法を行っていました。この勉強のおかげで試験委員の着眼点を一定程度把握することができました。

フル起案する過去問題の年度目安

 2022年度合格 
同志社大学法科大学院・既修 2022年修了

 時間を計って手書きで答案を作成した上で、出題趣旨、再現答案や採点実感を読み込み、付け足すべき表現や論点などを、作成した答案に書き込むようにしていました。このようにすることで、答案を見直しさえすれば、自分が間違えた箇所や、論証をすぐに確認することができます。解いた過去問の範囲ですが、司法試験本試験・予備試験ともに新司法試験になってからの年度の過去問は全て解いていました。基本的には全て解くべきだと思います。

「在学中受験」で目指す起案の目安

 2023年度合格 
同志社大学法科大学院・既修 2024年修了(在学中受験)

 論文式試験の起案は、3〜5年ほどの過去問を起案しました。在学中受験は、時間が足りないため、皆さまはなるべく早い時期から起案することをお勧めします。
過去問を解く目安に関するおすすめ記事はこちら:
【論文】合格者答案に近づくには
 不合格者答案から見えた、決定的な違い

書くべきか、答案構成のみかの判断基準

 2023年度合格 
司法試験予備試験合格

 過去問演習は科目ごとにメリハリをつけ、時間を図って答案を書く科目と、答案構成で済ませる科目に分けていました。全科目をフル起案することは時間的に厳しいため、自分の得手不得手などを加味しつつ、取捨選択すると良いと思います。

「数をこなす」の意味にご注意を

 2022年度合格 
司法試験予備試験合格

 直前期以外は答案を書くことはあまりせず、答案構成のみを行いました。1回を丁寧に行うより3回回すというように数をこなすことを意識していました。数をこなすといっても、適当に行うということではありません
分からないことがあったり知識が抜けていると思った場合は、基本書に戻りながらも、「一つの問題に対してそこまで時間をかけない」ということです。

答案を書く機会はつくる

 2022年度合格 
司法試験予備試験合格

 本番の試験に向けて実際に時間を計って答案を書く練習をすることが必要です。しかし、実際の過去問を全て2時間かけて解いていくのでは、非常に時間がかかります。そのため、私は過去問を数年分およびTKCの「全国統一模試」を1回分のみ、実際に答案を作成して時間配分の練習をしました。

時間配分を練習した「全国統一模試」とは  TKC主催模試の詳細を確認する

まとめ

 2023年度合格 
慶應義塾大学法科大学院・既修 2023年修了

 もっとも、司法試験特有の答案の書き方に慣れていない方は、手書き答案を作成するのが良いと思いますし、反対に科目ごとの書き方は自分の中である程度固まっていて、あとは一通り問題に触れておきたいというのであれば、答案構成だけでも十分足りるでしょう。1年度分全科目を答案構成し、出題趣旨・採点実感、解説などを熟読するだけでも相当大変です。重要なのは、自分の弱点や苦手分野を正確に把握し、数ある勉強法の中でご自身に合った「落ちないための勉強」をすることを忘れないでください。
日頃から試験本番を意識した
勉強法でシミュレーションを
司法試験本番で途中答案を回避するには、日頃から時間配分を意識した試験対策も欠かせません。それは短答式試験も同様です。まずは解答を導き出すまでの時間を昨年TKC模試で出題した短答式問題が無料で解ける「 TKC司法試験模試チャレンジに挑戦して、把握することから始めてみませんか
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